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建設業許可
建設工事の完成を請け負う営業を行うためには、公共工事であるか民間工事であるかに関わらず、建設業の許可を受けなければなりません。
なお、軽微な建設工事のみを請け負う場合は、必ずしも、建設業の許可を受けなくてもよいとされています。
軽微な建設工事
- 建築一式工事(次ののいずれか)
- 工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事
- 延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
- 建築一式工事以外の建設工事
- 工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
注文者が材料を提供する場合は、材料の価格とその運搬費も請負契約の額に含めることとなります。また、1つの工事を2以上の契約に分割して請け負った場合は、各請負契約の合計金額がその工事の請負金額となります。
建設工事の種類
建設業法第2条1項には、「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。と定義されています。
別表第一の上欄には、2 種類の一式工事と 27 種類の専門工事が列記されています。
建設業許可は、行おうとする建設業の業種ごとに許可を取得する必要があります。
(一式工事)
① 土木一式工事②建築一式工事
(専門工事)
③大工工事 ④左官工事 ⑤とび・土工・コンクリート工事 ⑥石工事 ⑦屋根工事 ⑧電気工事 ⑨管工事 ⑩タイル・れんが・ブロック工事 ⑪鋼構造物工事 ⑫鉄筋工事 ⑬舗装工事 ⑭しゅんせつ工事 ⑮板金工事 ⑯ガラス工事 ⑰塗装工事 ⑱防水工事 ⑲内装仕上工事 ⑳機械器具設置工事 ㉑熱絶縁工事 ㉒電気通信工事 ㉓造園工 事㉔さく井工事 ㉕建具工事 ㉖水道施設工事 ㉗消防施設工事 ㉘清掃施設工事 ㉙解体工事
土木一式工事、建築一式工事といった「一式工事」は、総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物または建築物を建設する工事です。原則として、大規模または施工内容が複雑な工事を、元請業者の立場で総合的にマネージメントする事業者向けの許可となっています。
なお、建築一式(土木一式)工事の許可取得により、建築(土木)系の専門工事すべてが請け負えるというわけではなく、専門工事の請負にはそれぞれの工事業種ごとの許可の取得が必要です。
建設業許可の要件
建設業許可の要件は、次の 6 つです。
- 経営業務の管理責任者がいること(経営業務の管理責任者)
法人である場合には常勤の役員、個人である場合には、本人または支配人が、建設業経営について一定の経験を有すること - 専任技術者がいること(専任技術者)
許可業種に関しての一定の専門知識や経験を有する者を、営業所に配置すること - 誠実性(誠実性と欠格要件)
請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと - 財産的基礎(財産的基礎)
[一般建設業] (次のいずれか)
・自己資本額(決算書の貸借対照表の純資産合計)が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書・融資証明書で証明)
[特定建設業] (次のすべて)
・資本金が2000万円以上で、自己資本額が4000万円以上であること
・欠損比率が20%以下で、流動比率が75%以上であること - 建設業法で定める欠格要件に該当していないこと(財産的基礎)
不良・不適格業者は建設業許可を受けることができません。 - 社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)に加入していること(社会保険への加入)
「健康」「厚生」「雇用」3保険に加入していること。
知事許可と大臣許可
建設業許可には、知事許可と大臣許可の区分があります。営業所をどこに構えているのかによる区分です。
- 知事許可
一の都道府県の区域内のみに営業所を置く場合
例えば、東京都内に、1カ所のみ営業所を置いている。2か所営業所があるがいずれも東京都内にある。このような場合は、東京都知事の許可になります。 - 大臣許可
二以上の都道府県の区域内に営業所を置く場合
例えば、東京都に本店。千葉県に支店を置いて営業している場合は、国土交通大臣許可になります。
なお、知事許可と大臣許可とで、建設工事の施工ができる範囲に違いはありません。例えば、東京都知事の許可を受けている建設業者でも、東京都内だけでなく、千葉県や埼玉県、そのほか、全国どこの現場でも建設工事を施工することができます。
また、「営業所」とは、建設業営業に関係する本店、支店の他、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことです。
本店、支店と言う名称でなくても、建設業に係る営業に実質的に関与している場合は、営業所に当たります。
一方、作業所や臨時の工事事務所は、営業所に当たりません。 建設業以外の業種を兼業している業者が、兼業する業種のみを営む支店を設けた場合も、営業所に当たりません。
「営業所」とは
- 請負契約の見積り、入札、契約締結の手続などに係わる実体的な行為を行う事務所。
- 常勤役員等、専任技術者が常勤していること。
- 電話、机、各種事務台帳などを備え、他法人または他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で、明確に区分されていること。個人住宅にある場合には、居住部分と明確に区分されていること。
- 営業用事務所としての使用権原を有していること。(自己所有又は賃貸契約等)住居専用契約は原則として認められない。
- 看板標識等で、外部から建設業の事務所であることが分かる表示があること。
一般建設業と特定建設業
下請契約の規模による分類です。元請け業者として多額の下請契約を締結する場合は、特定建設業の許可を受ける必要があります。
具体的には、
発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上となる下請契約を締結する場合が、特定建設業に該当することになり、 それ以外の建設業者は一般建設業となります。
発注者から上記の金額以上の工事を直接請け負っても、大半の工事を自社で直接施工しており、下請契約の金額が、上記の範囲に収まっているなら、一般建設業でよいことになります。なお、下請け業者としての工事の請い負いであれば、一般建設業許可業者でも再下請に出す場合の金額に制限はありません。