目次
解体工事業登録
「土木工事業」、「建築工事業」又は「解体工事業」の建設業許可を取得せずに、家屋等の建築物の解体工事業を営もうとする者は、元請であるか下請であるかにかかわらず、解体工事業の登録を受けなければなりません。
登録は解体工事を施工しようとする区域を管轄する都道府県知事に行います。例えば、東京都と神奈川県の現場で解体工事を行う場合は、営業所の有無にかかわらず、東京都知事と神奈川県知事の登録を受けます。
なお、請負金額が500万円以上となる解体工事と解体工事を含めた請負金額が1500万円以上となる建築一式工事を請負うには建設業許可が必要です。
解体工事業登録の要件
解体工事業の登録を受けるためには次の要件を満たす必要があります。
1. 建設リサイクル法24 条の登録拒否事由に該当しないこと
登録拒否事由は9 つ定められていますが、主なものは次のとおりです。
- 登録申請書及び添付書類に虚偽の記載をしたり、重要な事実の記載をしていない場合。
- 解体工事業の登録を取り消された日から、2年を経過していない者。
- 解体工事業の業務停止を命ぜられ、その停止期間を経過していない者。
- 建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑罰を受け、その執行を終わってから2年を経過していない者。
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者。
2. 技術管理者を選任していること
解体工事業者は、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術管理者を選任しなければなりません。
技術管理者の要件
実務経験による場合
- 大学専門学校などの土木工学科等を卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する者
(高校の場合は実務経験4年以上) - 解体工事に関し8年以上の実務経験を有する者
※解体工事施工技術講習会を受講した場合は、上記の実務経験をそれぞれ1年短縮することができます。
次のいずれかの資格を有する者
- 1級建設機械施工技士
- 2級建設機械施工技士(種別「第1種」又は「第2種」に限る。)
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士(種別「土木」に限る。)
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士(種別「建築」又は「躯体」に限る。)
- 1級建築士
- 2級建築士
- 1級のとび又はとび工の技能検定に合格した者
- 2級のとび又はとび工の技能検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
- 技術士(2次試験のうち建設部門に合格した者に限る。)
- 解体工事施工技士の試験に合格した者
解体工事業登録の新規申請に必要な書類
東京都への登録の場合、新規申請に必要な書類と添付書類は次のとおりです。
- 解体工事登録申請書
- 誓約書
- 登録申請者の調書
- 技術管理者の資格等を証明する書類
(技術管理者の住民票原本と資格者証等の写し(原本提示)、実務経験証明書) - 申請者の身分等を証明する書類
(履歴事項全部証明書及び役員全員の住民票原本) - 役員等氏名一覧表
- 営業所の確認資料(登記上以外の場合)
新規 | 45,000円 |
---|---|
更新 | 26,000円 |
解体工事業登録の有効期間
解体工事業登録の有効期間は5年間です。5年経過後も引き続き解体工事業を営む場合は、有効期間満了の2か月前から30日前までに登録の更新をする必要があります。
なお、「土木工事業」、「建築工事業」又は「解体工事業」の建設業許可を取得した場合は、解体工事業登録を抹消することになるため、建設業許可通知書の写し又は建設業許可証明書(原本)を添えて届出を行います。
建設リサイクル法とは
特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する建設工事であって一定規模以上の建設工事については、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)に基づき、その受注者に分別解体等及び再資源化等と工事の事前届出が義務付けられています。
分別解体と再資源化の対象となる建設工事は次のような工事です。
工事の種類 | 規模の基準 |
---|---|
建築物解体工事 | 床面積80平方メートル以上 |
建築物新築・増築工事 | 床面積500平方メートル以上 |
建築物修繕・模様替(リフォーム等) | 工事金額1億円以上 |
その他工作物に関する工事(土木工事等) | 工事金額500万円以上 |
従来の解体工事は、ミンチ解体といい、建設資材を分別せずに建築物等を一気に壊し、混合廃棄物を発生させていました。また、混合廃棄物は処分が難しく不法投棄されることも多く問題になっていました。現在では、解体の際、建設資材は分別し、使える物はリサイクルすることが義務付けられています。例えば、コンクリートは再生砕石、アスファルトは再生アスファルト、木材は木材チップなどに再生されて利用されます。
解体工事業者の登録制度は解体工事の適正な実施を確保するために、建設リサイクル法により創設されました。