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建築士事務所の登録
一級建築士、二級建築士、木造建築士が、他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を業として行おうとするときは、建築士法23 条に基づき、都道府県知事の登録を受けなければならないとされています。
設計等とは
建築士法23 条によると、設計等とは、「設計、工事監理、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査若しくは鑑定又は建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続の代理」を行うことと定められています。
建築士事務所登録の要件
建築士事務所登録の要件は次のとおりです。
1. 登録の拒否事由に該当しないこと
建築士法23 条の4 に定める登録の拒否事由に該当しないことが要件となっています。主な登録拒否事由は次のとおりです。
- 登録申請書の重要な事項についての虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5 年を経過しない者
- 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5 年を経過しない者
- 建築士事務所について登録を取り消され、その取消しの日から起算して5 年を経過しない者
- 建築士事務所の閉鎖の命令を受け、その閉鎖の期間が経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5 年を経過しない者
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
2. 建築士事務所を管理する専任の建築士を置いていること
建築士法24 条によると、建築士事務所の開設者は、事務所ごとにそれぞれの建築士事務所を管理する専任の一級建築士、二級建築士又は木造建築士を置かなければならないとされています。
この建築士を管理建築士と言いますが、管理建築士になるためには次の2 つの要件を満たしていなければなりません。
- 建築士として3 年以上の設計その他の国土交通省令で定める業務に従事したこと。
- 登録講習機関が行う講習の課程を修了していること。
※その他の国土交通省令で定める業務とは次の様な業務です。
- 建築物の設計に関する業務
- 建築物の工事監理に関する業務
- 建築工事契約に関する事務に関する業務
- 建築工事の指導監督に関する業務
- 建築物に関する調査又は鑑定に関する業務
- 建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理に関する業務
※専任とは、事務所に常勤し、専ら管理建築士の職務を行っていることを意味します。具体的には雇用契約等により、継続的な関係を有し、休業日を除いて、通常の勤務時間中は、その事務所に勤務していなければなりません。
なお、派遣労働者は、管理建築士にはなれません。また、既に事務所の管理建築士として登録されている建築士は、他の建築士事務所の所属建築士となることはできません。
建設業の専任技術者、専任の宅地建物取引士等については、同一法人内で同一所在地の事務所である場合は、管理建築士との兼任も可能です。
建築士事務所登録の申請先
建築士法によると、建築士事務所は、都道府県知事の登録を受けなければならない。と定められていますが、実際に、登録の業務を行っているのは、都道府県知事から委託された「指定事務所登録機関」です。(建築士法第26 条の3 第1 項)
東京都の場合は、「一般社団法人東京都建築士事務所協会」が窓口となっています。
また、法人が、本店の他、支店を置き、本店と支店で建築士による設計等の業務を行う場合は、本店と支店それぞれについて、建築士事務所登録を受ける必要があります。国土交通大臣による一括登録と言った区分はありません。
申請書類
法人の場合は次のとおりです。
- 建築士事務所登録申請書
- 所属建築士名簿
- 役員名簿
- 業務概要書(更新時)
- 登録申請者、管理建築士の略歴書
- 誓約書
- 定款の写し
- 履歴事項全部証明書の写し
- 事務所の賃貸借契約書の写し(登記上以外の場合)
- 法人都民税・法人事業税等領収証書の写し又は、納税証明書の写し
- 法人設立届の写し(決算期未到来の場合)
- 管理建築士の確認資料
- 住民票の写し
- 建築士免許証(建築士免許証明書)の写し
- 前職場の退職証明の写し(退職後6 ヶ月以内の場合)
- 専任証明
- 管理建築士講習修了証の写し
※管理建築士の専任証明は次のいずれかです。
- 健康保険被保険者証(事業者名と管理建築士の氏名が記載されているもの)の写し
- 雇用保険被保険者証(事業者名と管理建築士の氏名が記載されているもの)の写し
- 住民税の特別徴収税額通知書(事業者あてのもの)の写し
- 法人確定申告書の表紙と役員報酬明細の写し(受付印押印のもの)。
- その他常勤が確認できるもの(要個別相談)
なお、登録申請者が管理建築士を兼ねる場合は、専任証明は必要ありません。
※建築士事務所の名称は法人名だけでなく、その法人名の前後どちらかに「一級(二級・木造)建築士事務所」と入れることが求められています。
一級建築士事務所 | 18,500円 |
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二級建築士事務所および木造建築士事務所 | 13,500円 |
建築士事務所登録の有効期間
建築士事務所登録の有効期間は、登録の日から起算して5 年とされているため、5 年後も引き続き業務を行おうとするなら、更新の登録を受ける必要があります。
なお、変更事項が生じていた場合は、変更届の提出が必要となります。
東京都の場合、満了日の2 ヶ月前から満了日前30 日までに更新申請を行わなければならないとされています。
変更届
申請内容に変更があった場合は、変更届の提出が必要です。
代表者、管理建築士等の変更は変更日より14日以内、所属建築士の変更は、変更日より3 ヶ月以内の届出が義務付けられています。
設計等の業務に関する報告制度
建築士事務所の開設者は、設計等の業務に関する報告書を、毎事業年度経過3カ月以内に、都道府県知事に提出しなければなりません。
報告事項は次の4項目となります。
- その事業年度における業務実績
- 所属する建築士の氏名等
- 建築士ごとの業務実績
- 管理建築士による意見の概要
報告書の未提出には、罰則も定められています。