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経営事項審査keieishinsa

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経営事項審査(経審)とは?

経営事項審査(経審)とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。
公共工事の発注機関は入札に参加しようとする建設業者について「客観的事項」と「主観的事項」の2つの結果を点数化して格付けを行います。
このうちの「客観的事項」についての審査が経営事項審査です。
建設業者は経営事項審査で、経営規模、経営状況、技術力、社会性の4項目を客観的な基準で数値化した総合評定値P点を出し、経審の結果通知書を取得します。

なお、経営事項審査の結果通知書の有効期限は、審査基準日(決算日)から1年7カ月となっており
公共工事を発注者から直接請け負う建設業者は、前年の経審の結果通知書の有効期限が切れる前に申請を行い、結果通知書を受け取っていなければ、公共工事を請け負えません。
毎年、決算日を迎えた時点で経営事項審査の準備を開始し、切れ目なく、公共工事を請け負えるようにしておくことが肝要です。

経営事項審査の流れ

  • 01

    決算変更届

    決算変更届を経審用に定められた形式で作成し、決算日から4か月以内に提出する。

  • 02

    経営状況分析の申請

    作成した建設業財務諸表を経営状況分析機関に提出し、「経営状況分析結果通知書」の発行を受けます。

    「経営状況分析結果通知書」は経審申請時に行政庁へ提出します。

  • 03

    経審申請の手続き

    建設業許可を受けている行政庁へ、経審の申請書類を提出し、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」の発行を申請します。

    東京都の場合は、予約制となっているため、決算変更届の提出後に審査日の予約をします。

  • 04

    経営事項審査の結果通知書の送付

    経審の審査が終わると、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が送付されます。

    東京都の場合、結果通知書の交付までの標準処理期間は、申請受付から22日とされています。

経営事項審査の評価項目

経営事項審査は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとされています。

  1. 経営状況
  2. 経営規模、技術的能力、その他社会性等の客観的事項

「経営状況」はY点のことです。収益性、流動性、安定性、健全性などを計る指数です。経営状況分析機関に分析を依頼する項目になります。
「経営規模、技術的能力その他の客観的事項」は、「経営規模」X点(X1 とX2)、「技術力」Z点、「社会性等」W点のことです。
これらの数値を足したものを「総合評定値」P点といい、経営事項審査の結果になります。

総合評定値の計算式は次のようになります。

P点= 0.25(X1)+0.15(X2)+0.2(Y)+0.25(Z)+0.15(W)

アルファベットの前についている数字は、それぞれの項目のウェイトを示しています。

数字が大きいほど、経営事項審査において重視されていることを意味しています。

X1 とは

経営規模のうち、完成工事高を表しています。
2年または3年の平均完成工事高を求め、工事高に応じた評点が付けられます。

X2 とは

経営規模のうち、自己資本額と平均利益額を表しています。
自己資本額は、直近の自己資本の額又は直近2年の平均自己資本の額から評点を付けます。
平均利益額は、営業利益に減価償却額を加えた額の2年平均です。

Yとは

経営状況のことです。収益性、流動性、安定性、健全性などを計る指数です。経営状況分析機関に分析を依頼する項目になります。
Y点は次の項目が評価の対象になります。

  1. 純支払利息比率
  2. 負債回転期間
  3. 総資本売上総利益率
  4. 売上高経常利益率
  5. 自己資本対固定資産比率
  6. 自己資本比率
  7. 営業キャッシュ・フロー
  8. 利益剰余金

Zとは

技術力の指数です。技術職員の数と元請完工高が反映されます。

技術職員の数については、業種別の資格保有者、実務経験者の人数に評点が付けられます。
元請完工高は、業種別の2年間又は3年間の平均元請完成工事高に応じた評点が付けられます。

0.8×Z1(技術職員数値の評点)+ 0.2×Z2(元請完工高の評点)

Wとは

社会性などのその他の審査項目です。審査項目は多岐にわたりますが、概要を示すと次の8項目が対象になります。

  1. 建設業の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
  2. 建設業の営業継続の状況
  3. 防災協定締結の有無
  4. 法令遵守の状況
  5. 建設業の経理の状況
  6. 研究開発の状況
  7. 建設機械の所有及びリース台数
  8. 国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況

このうち、「1. 建設業の担い手の育成及び確保に関する取組の状況」は、評価の対象が多岐にわたります。

概略を示すと次の様なものです。

  1. 労働福祉の状況
    雇用保険、健康保険、厚生年金保険、建設業退職金共済制度の加入、退職一時金制度若くは企業年金制度の導入、法定外労働災害補償制度への加入の有無を評価します。
  2. 若年、新規若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
    審査基準日時点での満年齢が35 歳未満の技術者が15%以上であれば評価されます。また、前回審査よりも若年技術者が1%以上増えていれば評価されます。
  3. 知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
    技術者が取得したCPD単位の合計数と、技能者が能力評価基準により受けた評価が1以上向上した者の数により評価されます。
  4. ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況
    えるぼしなどの女性活躍推進法に基づく認定、くるみんなどの次世代法に基づく認定、若者雇用促進法に基づく認定(ユースエール)等を受けている場合に評価されます。
  5. 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(CCUS の導入状況)
    元請業者が、建設現場にカードリーダー等を設置して、CCUS カードのタッチができるようにした場合等に評価されます。

「総合評定値」P点を上げるためには?

P点を上げるためには、「経営状況」Y点、「経営規模」X点(X1 とX2)、「技術力」Z点、「社会性等」W点を満遍なく上げることが望ましいでしょう。
しかし、Y点やX点は、短期間で上げることが難しい項目のため、中長期的に計画を立てて上げていくしかありません。
一方、Z点やW点は、若手の職人を雇用したり、資格取得を後押ししたり、労働環境を整えることにより、比較的短期間で上げやすい項目と言えます。
どの項目を改善すれば、P点が上がるのかは、建設業者ごとに異なりますが、まずは、Z点やW点を上げることを目指すとよいでしょう。

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